今年も無事に参加しました、ツールドおきなわ。
シーズンラストレースながら出走には色々下準備が必要なため、まずは今年も参加出来て良かったです。
参加クラスは今年も市民140㎞。なぜ140㎞かというと、市民210㎞は純粋に力が足りないし、100㎞には山が1回しかない。やっぱ国頭山を2回登ってこそツールドおきなわでしょう(シャカリキ読んだ人しかわかりませんね)!
スケジュールの関係で今年は土曜日に現地入り、やっぱり前日インだと色々慌ただしいけど、来れただけ良しとしよう。
トレーニングは積んできたけどここ数日で風邪が悪化。まぁレース中はアドレナリンが出ていれば問題ないだろう。また、今回手配した国頭の宿泊施設(3000円/日)も想像以上に快適で、ストレスなく過ごせた。
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国頭で自転車組み立て |
レース当日、5時過ぎに起床。風邪が悪化して声が出ない...薬を飲んで若干ましになったけど大声が出せないのでちょっぴり不安だ。
例年のおきなわに比べて気温が低め(20度前半)で、脱水の危険は低そう。あとは腹を括ってやるだけだ。
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当日朝 例年に比べて涼しい |
スタート地点の道の駅では色んな方々に再会した。他レースで競った人や、年一回おきなわでしか会わない人とも話せるのはとても面白い。これもツールドおきなわの醍醐味。
余談だけど、僕は「山岳地点がくると先頭切って突っ込んでいく人」と多数の方に記憶されているようだった。まぁその通りなのだが。
例年通りにスタート整列管理は杜撰だったけど、定刻の9:20には出走となった。
今シーズンラストにして最大・最高のロードレースが始まった。
結果:市民140㎞ 19位
5列目位からスタート。左端だったので中々前に出れなかったけど、まずは落車しないように走るのが先決。相変わらず所々で急ブレーキがあったりするけど、とりあえず無事に一回目の山岳地点へ到着。
山岳ポイントでポジションを上げようとするが、集団が道路一杯に広がって中々前に出れない。風邪で声が枯れているため意思疎通がとりにくく、何とか隙間を見つけては先頭に移動した。そこからは山岳ペースメイクに加担する。毎年国頭山を先頭で走っているので、集団からは坂バカって思われているんだろうなぁ、と思いつつ程ほどのペースで登る。今回は山岳賞を狙っていないので終盤の山頂争いには絡まなかったけど、今年は何故か山頂付近で30人くらいがもがいていた。良く分からなかったけど僕はスルーしてポジションを落としながら一回目の山頂を通過。
その後はしばらくダウンヒル。僕はここの下りが苦手。普段70km/hで長時間ダウンヒルをこなした経験が無いし、まだ(失礼ながら)落車因子を持つ技量の選手も混ざっているので、リスクを下げてゆっくり下った。結構先頭と離れたけど、補給所あたりでペースダウンしていたので難なく合流。別に急がなくても平気だったな。
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毎年だけどビビりながら下山 |
その後は辺戸岬へ向かう。この時点で集団は70名くらいか?結構風が強かったので集団は1列棒状だったけど、意外とペース自体は緩まなかった気がする。去年・一昨年と違いステファノ選手が不参加だったので今年はゆっくりになると思ったけど、そこそこのペースだった。まぁアタックはかからなかったので淡々と走る。
因みに先に走っていた100㎞クラスの落車者がそこら中にいて結構怖い思いをした。安全第一で走りましょう。
そんなこんなで大きな展開もないまま二度目の山岳に突入する。
そう、ここが僕のツールド沖縄の分岐点となった。
この市民140㎞集団には本来市民210㎞に出るべき実業団トップ選手が複数いた。彼らとまともに戦えるのは登坂のみ。とりあえず山岳ポイントでジワジワペースアップしダメージを与えたかったので再び先頭を引く。山を半分くらい登ったところで集団がペースダウンしたため、僕とSBCの選手で先行する形となってしまった。そして何故か集団からイノウエ君が飛び出てくる...まぁ彼の判断なので何とも云うまい。その後は乗りで再び山岳賞を狙おうかと思ったけど、結局脚を使い過ぎると冷静な判断をしてしまい、SBCに山岳賞を引き渡す。そのままイノウエ君と合流し下山。
補給所地点(70㎞)でも集団はまだ来ない。去年は学校坂でメインに追い付かれたので、とりあえず集団が追いついてくるまではペースで走った方が楽なのでイノウエ君とそのまま行くことに。途中でSBCを拾って3名で学校坂へ突入...したのだが、まだ集団が来ない。そしてバイクから「タイム差1分20秒」と報告を受ける。
1分20秒? これは驚異的なタイム差だ。ツールドおきなわは逃げ切り優勝の実績もあったので、最長学校坂からの逃げも想定していたが現実にチャンスが訪れるとはさすがに想像しなかった。ここで選べる選択肢は①そのまま逃げる②集団が追いつくのを待つの二択。でももし、万が一集団内でトラブルや牽制があったら? そして僕は今までにも逃げ切り優勝の実績が複数ある。流石にツールド沖縄のように過酷な大舞台で逃げたことはないけど、ロードレーサーなら行くしかない。自転車にバックギヤはない!
そんな訳で自転車人生最大の「逃げ」を敢行した。スタートから70㎞、ゴールまであと70㎞。
逃げのメンツは僕・イノウエ君・SBCの3名だけど、SBCはガス欠らしくちっとも前を引いてくれない。何度か先頭交代を促したがダメそう(ずっと付き位置)。短時間でも前に出てくれないと士気が下がるからしっかり走ってほしかったが、頼りにならないので実質僕とイノウエ君2名の逃げとなった。
当然メイン集団からは段々とタイムを縮められ、一時は40秒差ぐらいまで詰められたがその後は45秒差位をキープして80㎞、90㎞と逃げを続ける。逃げで一番きついのは平坦だ。登りは集団のメリットは少ないし僕はクライマー。下りは60㎜ホイールをゴリゴリ回すイノウエ君と協力してスピードを維持できるが、平坦区間はもろに風との戦いとなる。それでも僕も三浦半島で平坦ノンストップ3h練習をしたりし、逃げ走行の技量は上がっていたので集団とのタイム差を維持しつつ走ることが出来た。タイム差を維持しつつ、100㎞地点も通過。
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逐次バイクがタイム差を報告に来る |
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2名ローテーションながら集団とタイム差をキープ |
途中でカメラカーがいたので調子に乗ってポーズをとる。そして後ろを振り向くとイノウエ君がいない...「落車か?」と一瞬ビビったけど単に脚を攣っただけのよう。ともあれ脱落。ここまで2名で何とか逃げていたのに、ここからは単独逃げ。一気にハードルが上がる。(何故かSBCは未だに付き位置しているがカウントしない。)
単独逃げになったけど、やることは変わらずただペースを落とさずに回し続けるのみ。再びバイクがタイム差を報告に来る。「50秒差」の報を受け、再び士気が上がる。そのまま2つ目の補給所坂を通過。勝負どころの羽地ダムまでに残す大きな坂は1か所のみ。そこさえ超えれば羽地に向けて集団が牽制を始めていよいよ逃げ切り勝利が現実味を増す。
更に精神を高揚させ走っているとバイクから絶望的な報告が届く。
「16秒差!」
マジか!!一瞬で30秒以上縮められた。振り向くと集団が後ろに迫っている。丁度羽地前の最後の長めの登坂の入り口だ。もはや集団に着いて行く気力もなく、あっけなくレースから脱落する。スタートから大体110㎞地点、1時間を超える40㎞強の逃げだった。
*優勝したニシヤマさんのレースレポート読んだら、メインでも後半逃げ潰しの動きがあったようでした(
http://www.cyclowired.jp/news/node/250072)。
その後は緊張感が一気に切れて風邪が悪化。同時にパワーも抜けてインナーローを使いつつ坂を走破。他100㎞クラスに混じりながら特にスプリントせずに何とか名護までの30kmを生還した。何にせよ無事完走できたことに感謝だ。
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成績は振るわないけど、今年も無事完走 |
その後は仲間と合流し、那覇へ移動。メインイベント(?)の飲み会となった。朝から燃料みたいな食事しかしていなかったので沖縄料理が旨すぎる!!ツールドおきなわの醍醐味はむしろ夜にあるかもしれない(笑)
無謀とも思える逃げを失敗し、個人的には落ち込む点もあったけど、皆と楽しく参加出来たことにはとても満足している。
反省・感想
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フィジカル面では十分に戦える・・・今回成績が振るわなかったのは戦術とメンタルが原因で、スキル・フィジカルにおいては十分上位に通用することが分かった。優勝したニシヤマさんは集団で秀でたパフォーマンスの持ち主ではないけど、勝利をつかむためのメンタル・嗅覚があの瞬間誰よりも優れていたからこそ勝ったのだ。じゃあなぜ僕が19位という成績になったかというと...
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沖縄への入れ込み不足・・・今回フィジカルがあったのになぜ一桁順位までも届かなかったかというと、心の中で「絶対に優勝する」という決意が持てていなかったからだ。今まで出たレースはおおよそ「優勝してやるぜ!」という意気込みのもとに優勝若しくは入賞の成績を納めてきたが、国内最大規模のホビーレースたるツールドおきなわに対して、「優勝」を強く意識できなかった。実際今年は綿密にコースを研究し、休みどころ・仕掛けどころまで予習していたのに関わらず、安易に2回目KOMで飛び出てしまったのは勝つためのメンタルが足りなかったからだと思う。ただ、決して沖縄を軽視していたわけではない。8月の矢板HC・9月の箱根HCを優勝し、9月末のKOHで自己新記録を出したことにより、メンタルを消耗してしまったことも原因の一つだ。これについては今後(来年)のレースのプライオリティに関わる問題なので、今年中に方針を決める。
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人生最大の逃げ!・・・今回40㎞に及ぶ逃げをしたのは良い経験だった。ツールドおきなわは逃げ切り優勝の記録も多々あるので、一応「逃げ」についても想定していた。タイミングとしてはちょっと早かったけど、僕自身今まで「逃げ」の経験があるのでそこまで不安はなかった。レース中の選択肢に正解はなく、選んだ戦術で如何に勝つか。今回はそのやり方で勝てなかったというだけだ。反省点でいえば、ローテーションを拒否したSBCの選手を下りだけでも上手くローテに混ざるよう指示すべきだったことかな。僕自身はコンディションも悪くなく、メイン集団の追撃で心が折れなければペース走のままゴールまで走れたと思う。あとは逃げに巻き込んだイノウエ君を使い潰してしまったのが心残りである。
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無傷・接触無しで無事完走・・・成績はともかく、今年も無事安全に完走できた。あまり他選手を悪く言いたくはないけど、無駄なリスクを負って規模の大きい落車をする選手が多すぎる。周回コースならともかく、ろくに試走もしていないコースの下りでガンガン飛ばす選手とか正直どうかと思う。走っている最中もそこら中に選手が転がっていた。落車の原因は様々だけど、前の選手が下手な走りをするとそれが電波して後ろで落車が起きる。「前にいて良かったー」とかいう人がいるけど、集団前方にいる選手(僕も含めて)全員が落車のファクターを精製したことを強く反省しなければいけない。そういう意識のない人はロードレーサーであってはならない。
ごちゃごちゃ書いたけど、ようは「せっかく沖縄まで来たんだから、勝敗を別にしても楽しく走って完走しましょう!」ってこと。
今年も相変わらずの成績だったけど、レースを含めて楽しい2泊3日の旅行が出来て良かった。普段会わないWAPPAメンバも全員怪我なく走れたという事で本当に良かった。
来年のことは分からないけど、また挑戦が出来るなら、今度こそ「優勝」を公言できるよう強いメンタルをつくってレースに臨みたい。
最後まで目を通してくれた方(がいるとは思わないけど)で、もしロードレースに参加しツールドおきなわ未経験の方がいたら、人生で一回は挑戦をお勧めします。正直金も時間もかかるし宿・車の手配も面倒だけど、多分ニセコクラシックと並んでアマチュアの参加できる国内最大のロードレースです。二回挑戦しろとは言いませんが、お勧めです。
これでオフシーズン突入!
来年も(主にヒルクライムだけど)頑張っていこう!!